NOMADISM という生き方
人はなぜ旅をするのでしょうか。
人生それじたいが、まるで旅のようにも感じます。
見知らぬ土地を訪れ、目的もなくそこを歩いていると、その町の成り立ちが少しずつ見えてくる。目の前で続いている見知らぬ人たちの日常、その表面下からのぞく時間の堆積。ふと未知の世界と自らの体験が重なる瞬間がある。するとその土地の人々や歴史のことを、この世界のことをもっと知りたくなる。
それが旅への衝動を生むのかもしれません。そのくり返しが人生そのもののようにも思います。
この映画は、強い探究心に駆られた二人の作家が時空を超えて交錯し、この世界をダイナミックに描き出すドキュメンタリーです。
この映画を観たら、世界へ旅に出たくなること間違いなし。
荷造りをして、いざ劇場へ! ぜひお出かけください。(支配人)
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★サプライズ企画!!
ドイツ映画研究家・渋谷哲也さんによる、オンライントークを開催します。
23日夜の回上映後、渋谷哲也さんがオンラインで登場!
ヘルツォーク映画の魅力、ドイツ映画のことなどを解説していただきます。
(聞き手:山﨑樹一郎)
*当日の模様は録画して、毎日全ての回の上映後に放映します。(40分程度)
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『歩いて見た世界
ブルース・チャトウィンの足跡』
公式サイト
©️SIDEWAYS FILM
伝説の紀行作家
ブルース・チャトウィン
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伝説の映画監督
ヴェルナー・ヘルツォーク
人はなぜ移動するのか。
自分はどのように生きるのか。
彗星のように現れこの世を去っていったイギリス人作家ブルース・チャトウィン(1940-1989)。『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』は、彼の没後30 年に、生前チャトウィンと親交を結んだ巨匠ヴェルナ ー・ヘルツォークが制作したドキュメンタリーである。ヘルツォーク監督は、パタゴニアや中央オーストラリアのアボリジニの地など、チャトウィンが歩いた道を自らも辿り、チャトウィンが魅了された「ノマディズム/放浪」という、人間の存在の根底にある大きな概念を探究する旅に出る。
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STORY
旅人で作家のブルース・チャトウィンは、幼少の頃、祖母の家のガラス張りの飾り棚にあった“ブロントサウルス”の毛皮をきっかけに、先史時代や人類史に関心を抱いた。美術品の蒐集家、考古学の研究生、ジャーナリストと、様々なフィールドで非凡な才能を発揮したチャトウィンが最終的に選んだのは、自らの足で旅をしながら小説を書く人生だった。南米を旅し、デビュー作「パタゴニア」を書き上げたチャトウィンは、その後、アボリジニの神話に魅せられ、中央オーストラリアを旅した。当時は不治の病だったHIVに感染し、自らに訪れる死を悟ったチャトウィンは、死に近づいたアボリジニが生を受けた地に帰還するように、自らの死に方を探りながら「ソングライン」を書きあげた。映画は、一枚の毛皮から始まったチャトウィンの旅がユーカリの木陰の下で終わるまで、その過程で交差した人々のインタビューを交えながら、全8章、ヘルツォーク監督自身のナレーションで綴られていく。
©️SIDEWAYS FILM
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Bruce Chatwin(作家/1940 年、イギリス生まれ)
©️SIDEWAYS FILM
オークションで有名なサザビーズで美術鑑定士、収集家として成功を収め、その後、エジンバラ大学で考古学を専攻する。幼少の頃から先史時代に興味を持っていたチャトウィンは、見慣れない物を求めて世界中を歩いた。1978年に「パタゴニア」で作家デビューを果たし、栄誉ある数多くの賞に輝き、時代を代表する作家としての地位を築く。1989年にHIVで他界するまで5作の小説を発表した。
バイオグラフィー:「パタゴニア」(77)、「ウィダーの副王」(80)、「黒ヶ丘の上で」(82)、「ソングライン」(87)、 「ウッツ男爵」(88)。
Werner Herzog(映画監督/1942 年、ドイツ生まれ)
©️SIDEWAYS FILM
1960年から60作以上、映画の監督、脚本、プロデューサーを務める。ヴェンダースやファスビンダーと並ぶ ニュー・ジャーマン・シネマの旗手。『カスパー・ハウザーの謎』(74)でカンヌ国際映画祭審査員グランプリ、『フィッツカラルド』(82)で同監督賞を受賞する。近年では精力的にNetflixやAppleなど国際配信会社とドキュメンタリー作品を手がけている。ヘルツォーク監督のドキュメンタリーが日本で劇場公開されるのは、『世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶』(2012)以来10 年ぶり。
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