諏訪敦彦監督の『風の電話』上映が終わりました。
3日間にわたる上映、初日と2日目には、諏訪監督のトークイベントを開催。
色々なお話を伺いました。
監督の語りはゆったりと静かで心地よく、ずっと聞いていたいくらいでした。
2011年の東日本大震災というどうしても痛みを伴うこの題材を、直接それを映すことなく、哀しみや痛みを描きたかったと監督は言います。さまざまに痛みを抱える人たちが、多くを語らず、主人公の春にそっと寄り添う。そしてただ「食え」という言葉を投げかける。その傍らにはそれぞれの痛みが横たわっている。それ以上の言葉はない。なんという誠実。なんという優しさ。
全編を通して、登場人物の体温がある生身の人間感という不思議。フィクションなのに存在がリアル。その極みは、その場の空気や風までも巻き込んでしまうモトーラ世理奈の佇まい。それが本当に素晴らしかった。ラストのシーン。風がびゅうびゅう吹いていて、それがセリフの抑揚と見事に絡み合う。「あれは確かに又三郎のしわざだね」と監督は笑って言いました。(支配人)
(C)2020 映画「風の電話」製作委員会